今日は、心がつらいときに無意識に働く“コーピングメカニズム”について書いてみたいと思います。
心を守る
コーピングメカニズム
心には苦痛を避けて、心が壊れてしまわないよう守ってくれる働きがあります。
これを コーピングメカニズム と言います。
コーピングって何?
まずは、『コーピング』の言葉の意味から。
(コーピングって食べられるの?って思った方。残念ながら、スイーツではありません。私もがっかりです。)
コーピングは、「対処する」とか「切り抜ける」っていう意味ですが、いわば「心の応急処置」のこと。
コーピングメカニズムとは、ストレスや苦痛を感じたときに、心が壊れないようにするためのしくみ。
無意識に働くことが多く、誰もが持っているものです。
たとえば、落ち込んだときにスマホを見たり、甘いものを食べたり、ゲームに没頭したり。
こうした行動も、広い意味ではコーピングに含まれます。
※注 これらの行動がいつでもコーピングとなるということではありません。 
やっても後味悪かったり、自分にとってよくないと分かっているのに、やめることができないという時、その行動はコーピングになっていると思われます。
だから、「気分転換して乗り切ろう!」というアドバイスもよく聞きますよね。
でも、ちょっと待って。
それって、ちょっと注意が必要かもです。
気分転換と
癒しの違いって?
心がつらい時、本当の回復のためには原因を癒す必要があります。
癒しと気分転換の違いについてまとめてみます。
| 項目 | 気分転換 | 癒し | 
|---|---|---|
| 目的 | 一時的に気を紛らわせる | 根本の痛みに向き合い、回復する | 
| アプローチ | 外側の刺激で気分を変える | 内側の感情や記憶を見つめる | 
| 効果の持続 | 一時的 | 長期的・根本的 | 
| よくある行動例 | スマホを見る、甘いものを食べる、買い物する | 感情を感じる、過去を振り返る、安心できる場を持つ | 
| 心の状態 | 苦痛を避けている | 苦痛を受け止めている | 
もちろん、気分転換が悪いわけではありません。
疲れているときや余裕がないときには、まず気分を整えることも大切です。
でも、もし「なんとなく満たされない」「同じ悩みがぐるぐるしてる」と感じるなら、
ちょっとだけ心の中を観察してみるのがいいかもしれません。
無意識のコーピング
に気づく
「気分転換してるつもりだったけど、なんだかモヤモヤが消えない」
そんなとき、“無意識のコーピング” が働いているかもしれません。
コーピングの流れ
- 苦痛やストレスを感じる
- 無意識に「避けたい」と思う
- 気分を変える行動をとる(スマホ、ゲーム、買い物など)
- 一時的に楽になる
- でも、根本の苦痛は残ったまま
- また同じ行動を繰り返す
- だんだん依存的になっていくことも…
この流れ、もし「あるある…」って感じたら、
それは「気づき」のチャンスかもしれません。
ちなみに私は、情報収集依存の渦にのまれてぐるぐる回ってしまうことがよくあります。
あれが知りたい、これも気になる・・という無限ループ。
(実はコーピングしてる)
癒しのプロセス
- 苦痛や違和感に気づく
- 「なんでこんな気持ちになるんだろう?」と観察する
- 過去の経験や思い込みに気づく
- 感情を感じる・受け止める
- 「ほんとうはどうしたかった?」と問いかける
- 望みや感性を取り戻す
- 行動の動機が「避ける」から「望む」に変わる
癒しの入り口になる
問いかけ集 
もしやこのもやもやはコーピング?って思ったら、こんな問いかけをしてみては?
癒しのきっかけになるかもしれません。
- 今、何から逃げたいと思ってる?
- もし誰にも気を使わなくていいなら、何をしたい?
- 最近、なんとなくモヤモヤした瞬間っていつ?
- 「やらなきゃ」と思ってること、本当にやりたい?
- ずっと我慢してきたこと、ある?
- 誰かに言ってほしかった言葉、ある?
- 「こうあるべき」と思ってること、ほんとうにそう?
- 今の自分に、ちょっと優しくできるとしたら?
- 何かを避けてるとしたら、それは何?
- 本当は、どんなふうに生きたい?
まとめ:
逃げるより、戻る
ほうが楽になれるかもしれない
コーピングは、心を守るための大切なしくみ。
でも、それに頼りすぎると、ほんとうの自分から遠ざかってしまうこともあります。
苦痛を避けることに使っていたエネルギーを「望むこと」に使えるようになったら、どうなるでしょう?
きっと、もっと自由に、もっと自分らしく生きられるはず。
苦痛を避けるために身につけた「仮の自分」
↓
感情や望みをちゃんと感じられる、元々の自分に戻る
とはいえ、いきなり苦痛に向き合うのは怖いし、難しい。
だからこそ、少しずつ。
「逃げる」以外の選択肢があることを、思い出してみるだけでもOK。


 
		 
		 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			 
			
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