私たちが何かについて悩んだり、モヤモヤしている時、問題をなんとかしようとしたり、ムリならその場を離れようと考えたりすると思います。
でも、問題を解決するためには、物事をフラットな視点で見る必要があります。
その前提として、私たちは目の前の出来事をありのままには見ていないのだと知る必要があります。
注意を向けたもの
しか見えない
見えているものが
全てというわけではない
私たちの脳は、膨大な刺激や情報を知覚しています。
この瞬間にも絶えず、刺激を受け取っています。
もしも、友達とごはんを食べている時なら
食べ物の見た目や香り、硬さ、舌触り、甘み、苦味、のどを通る感触、満腹感、箸を持つ手の感覚、座っている椅子の背もたれの感じ、友達の声、表情、話す言葉、部屋の温度やインテリア、他の人が話す声・・・
でも、注意を向けない限り、その刺激は意識には上がってきません。
その膨大な情報の中から、自分にとって重要なことを選択して、そこへ焦点を当てます。
逆に言うと、重要だと判断しなかった情報には焦点を当てないので認識しません。
気が付かないということです。
もうひとつ別の例で考えてみます。
自分の家の鍵を思い出してみてください。
形や色や大きさなどを詳しく絵に描けますか?
何かしらの理由で家の鍵に興味を持っているのでなければ、通常はその形を詳細に把握してはいません。
毎日毎日何年も、その鍵を手にしているにも関わらず。
意識すると急に
見えるようになる
逆のことを考えてみます。
例えば、あたらしくバッグ買ったとします。
使いやすさとか、重さ、色、デザイン・・・あれこれ悩んでブランドもののバッグを購入しました。
そうすると、それまでは目に入らなかったのに、同じブランドのバッグを街でよく見かけるようになる。
あなたも似たような経験をしたことがあると思います。
見えないゴリラ
「見えないゴリラ」(Invisible Gorilla Test)という心理学実験があります。
被験者は、あるビデオを見ます。
ビデオに映っているのは、3名ずつの2つのチーム。
白い服を着た人たちと黒い服を着た人たち。
それぞれのチームがバスケットボールを一つずつ持っていて、チーム内でボールをパスします。
被験者は白い服を着たチームがボールを何回パスしたかを数えるように指示されます。
実は、それぞれのチームがあちこち動き回りながらボールをパスする間に、ゴリラの着ぐるみを着た人が、堂々と歩いて画面の真ん中に現れます。
そして、また画面の外へ去っていきます。
実験の結果、多くの被験者は、ゴリラの存在に気がつきません。
完全に視野に入っているはずのものが見えていないのです。

私たちは、注意を向けたもの以外の情報は排除してしまいます。
つまり、自分にとって大事だと思っていること以外のことには気づかないということ。
この実験のように、見えるはずのものが見えないということは、日々の出来事や人間関係でも起きています。
注目していること。
それが経験すること
注意を向けたことを私たちは経験します。
なんか、あべこべに聞こえるかもしれません。
「そんなはずはない。それが目の前で起きているから注目するんだ」
って思えてしまいます。
だけど私たちは起きていることをありのままに見ているわけではありません。
同じこと出来事が起きても、ある人はひどく気にして落ち込み、ある人は気づいてもいないのです。
それは注目していることが違うからです。
イヤな事が起きるのは
注意をそこに向けているから
どう考えたって「あの人はおかしい」とか「このままではマズイ」とかって思えることも、自分の偏った見方で捉えていることがほとんどです。
起きていることそのものよりも、何に注目しているかがもっと大きな問題です。
悩んでいるときは、いやなことばかりが起きていて、いいことが少ないように感じやすいです。
でも、最初にお話したように、私たちの周りには数えきれないほどのことが起きています。
いいことも いやなことも どうでもいいことも たくさん起きています。
その中で自分が注目していることが、自分にとっての「現実」となるのです。
自分が何に
注目しているかが
分かる方法
何に注目
しているのか
こたえは出ちゃってますが くり返します。
自分に起きていること
それが自分が注目していることです。
悩んでいるとしたら、そういう出来事に注目しているということです。
つまり悩みの原因だと感じている出来事の方に注目しているということです。
そのことに注目している ということは、それ以外の情報を遮断しているということでもあります。
遮断している情報(気づいていないこと)の方に、悩みを解決する糸口があるのです。
自分に起きる出来事を変えたいと思った場合は、自分が注目する対象を変える必要があります。
フラットな視点で
見るようにしてみる
まずは「実体は見えているままではないかもしれない」と知ることです。
自分で考えるとどうしても一つの視点から物事を見てしまうため、他の可能性を把握するのはむずかしいです。
専門家に話を聞いてもらうのがベストですが、むずかしい場合は紙に書き出すことが役に立ちます。
頭の中だけで考えていると、偏った視点で考えがちです。
なので、今困っていること、何が起きているのか、自分が何を感じているのか、本当はどうなってほしいのか・・などを書きます。
おっくうに感じるし、何を書いたらいいのか分からない?
でも、とにかく書いてみるのです。
ピンと来なくてもいいから、書いてみる。
書くこと自体にも効果はあります。
心のなかで思ったことを、言葉にして表現するだけでも、スッとします。
客観的に考えられるようになると、同じことが起きても捉え方が違ってきますよ。
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