頭の中でぐるぐるといろんなことを考えてしまって、しんどいのに止められない。
イライラする。あれこれ考えて気が休まらない。
・・・そうだ。マインドフルネスしよう
脳を疲れさせるもの
思考は過去と未来をさまよう
人は普段、無意識的にいろんな思考を巡らせています。
意思とは関係なく次から次へと思考が自動的に起こり、意識は過去へ行ったり、未来へ行ったりします。
そして、新しい刺激(目や耳に入ったことなど)を受けると別の思考が起きて、次から次へと意識はまたさまよい始めます。
思考がぐるぐるしているときは、意識が過去や未来をさまよっていて、心は今ここにあらずの状態です。
今起きていることではないのに、その思考に反応して不安やイライラを感じたりもします。
このとめどない無意識の思考(雑念)が脳を疲れさせてしまいます。
ぐるぐるが脳を疲れさせる
マーカス・レイクル教授によると、脳は意識的な活動をしていないとき、後部帯状回と前頭葉内側で血流が増え、この位置的に離れた領域が同期して活動するのだそうです。
この神経回路をデフォルトモードネットワーク(DMN)と言います。
DMNの働きは、まだよく分かっていないことが多いのですが、記憶や自己認識、時間・空間の認識などを行っているのではないかと考えられています。
思考がぐるぐると堂々巡りしている状態は、DMNが過剰に活動している状態です。
人の脳は体全体の中でも多くのエネルギーを消費する器官ですが、その脳のエネルギー消費のうち75%がデフォルトモードネットワーク(DMN)に費やされているとも言われています。
ちなみに意識的な活動に5%。細胞の維持や修復に20%だそうです。
意識的な活動と比較にならないくらいのエネルギーを消費しているというのは、ちょっとおどろきです。
たくさん寝ているのに、あるいは休みの日は何もしないでゴロゴロしているのに全然疲れが取れない、という場合、DMNが過剰に働きすぎているかもしれません。
マインドフルネスとは
自分の意志と関係なく意識が過去や未来をさまよい、とめどない思考が繰り返されている状態がDMNの暴走でした。
その逆に意識が今この瞬間にある状態が、『マインドフルネス』であるということです。
何か初めてのことをやるときや好きなことにのめり込んでいるときなどは、そのことに集中していて他のことを考えていない感覚がありますよね。
でも、慣れたことをやっているときなんかは、脳が自動操縦的に動作を行っていて、頭の中には雑念がたくさん起きています。
私たちの日常のほとんどは、自動操縦です。
マインドフルネスの達人
マインドフルネスというのは、自動操縦状態(上の空)ではなく、目の前のことや自分自身に集中して今この瞬間にいるということです。
でも、それがなかなかむずかしいのです。
私たちは、歯磨きをしながら考え事をしたり、ごはんを食べながらテレビを見たり、通勤しながらスマホを見たり・・・そういうことが得意になってしまいました。
小さい子どもは思い切りマインドフルネス。
目の前のことがすべて。
今を思いっきり味わっていますね。
私は昔、小さい子どもを見ていて、「ほんのさっきのことがもう頭のなかにいないのかな、瞬間瞬間しかないんだな」と不思議に思ったことがありました。
私たちは意識を分散する訓練を受けて育っていくのだと思います。
ご飯を食べるとき、子どもがテレビのアニメに夢中になってることってよくありますよね。
子どもにはそれが当たり前ですけど。
でも、「手が止まってる!早く食べなさい。テレビ消すよ!」とか言われて、アニメが見たい子どもは一生懸命意識を分散させて、食べながらテレビを見るという訓練をしているわけです。
そんな風にいろんな訓練を日々繰り返して、複数のことが同時にできたり、慣れたことは意識しなくても自動的にできるようになるのです。
同じように意識が時間的に未来に行ったり、過去に行ったりという訓練も行ってきました。
だから、今の私たちはこの瞬間に集中していることが逆にむずかしくなってしまいました。
そこで今度は集中の訓練です。
さまざまなマインドフルネス瞑想
この瞬間にいる訓練、それがマインドフルネス瞑想です。
瞑想にもいろいろあって、それぞれやり方や考えがあるようです。
例えば、「考えないようにするんだよ」とか、「考えることを拒否するんじゃなくて、それも受け流しちゃうよ」という。
あるいは、「呼吸はゆっくり」とか、「コントロールしないで自由に」とか。
例えばこんな瞑想あるよ
座禅
食事瞑想
ヨガ (ポーズにこだわるより、動作や体の感覚に集中する)
歩行瞑想
洗い物、そうじ、洗濯・・
洗濯機が回っているのを見ると落ち着く、とか、料理をしていると無心になれる、とか聞いたことありますよね。
目の前の何かに没頭しているとき、頭の中のおしゃべりが止んで思考から解放される気持ちよさを味わっているんですね。
こういうのも瞑想。
他の瞑想も共通しているのは、何かに意識を集中させるということ。
無心になる!というのはなかなかむずかしいので、一つのことに集中するのがやりやすいと思います。
それが呼吸だったり、食事で言うなら味や見た目、歯ざわり、食べる動作だったりします。
脳が変化する
近年、マインドフルネス瞑想がとても注目されていて、さまざまな研究が行われています。
健康やパフォーマンス向上などに大変効果があることが分かっています。
だから、アスリートや有名企業なんかがこぞって実践しているわけです。
脳の変化としては、記憶に関連する海馬が大きくなったり、感情をつかさどる偏桃体が小さくなり感情が暴走しなくなります。
そして、私が気になっているのは、前頭葉のdlPFC(思考や認知などの知的活動をまとめる役割)という領域の活動が上昇するということ。
DMNとdlPFCが同時に活動して、暴走しないようにうまくコントロールしてくれるようです。
瞑想が苦手な私の試み
私はじっと座って瞑想するのは苦手。
なので、歩行瞑想を心がけています。
以前、ゆっくり歩くという記事を書いたことがありました。
その時は歩行瞑想といものの存在を知らなかったんですが、あれは瞑想してたんだな、と後で気づきました。
超ゆっくり歩くのはすごくおすすめなんですが、白昼にやると人に振り向かれますのでご注意。(異常に遅く歩きます)
そこまでゆっくり歩けない時も、歩く足の動きや感覚に意識を向けるようにします。
私の場合は胸の辺りがじわじわーっとする感覚があります。
動きに集中する瞑想の場合は、ゆっくり動作するのがおすすめ。
早く動くと、思考がぐるぐるしやすくなります。
それから、自分の思考を観察するときもあります。
どんなことを考えてるのか、頭の中で言葉を使っておしゃべりしているかな、って観察するんです。
観察していると不思議に雑念がわいてこないものです。
集中が途切れて知らずに思考していたら、そのことにまず気づく。
そして、また戻す。
また考えちゃったー、とかジャッジは不要です。
「あ、また考えてしまった!」とか、「なんで集中できないんだろう」と思ったら、それもまた思ったことに気づいてまた戻す。
執着しないで受け流す。
瞑想とはこの逸れた注意を戻す訓練のことです。
考えないようにしよう、とかコントロールするのではなく、観察する。
逸れたら、それを観察して、また元のことに注意を向ける。
ぐーっと力まずに、ふわーっと集中する感じがいいのじゃあないでしょうか。
思考まみれなんですけど
瞑想をしてみると、自分がいかにたくさん思考しているかに気づきます。
普段は四六時中あたまの中を思考が駆け巡っていることに気づいてすらいません。
「あたまの中がうるさーい!」と気づいたらマインドフルネスしちゃいましょう。
思考に巻き込まれている状態に気づいて観察するのです。
観察しているときは巻き込まれていません。
コントロールとかジャッジはしないでただ観察します。
思考を言葉にしてみて観察するというのもありみたいです。
なんでそう思うんだろう、こんなこと考えてたんだ・・・
客観的に気づくことによって無意識に繰り返していた思考がだんだんと消えていくようです。
そして、この瞬間にただただ見ている。
ただただにおいを感じている。
ただただ味わっている。
見る、聞く、におう、味わう、からだで感じる
そういった五感(感覚)にフォーカスしているとき思考は静かになります。
最後にアプリひとつ紹介します
最近、眠るとき毎日聞いてるアプリです。
(Android用です)
私は雨の音を聞くのが好きなので、これにしています。
いろんなパターンの雨の音が聞けます。
波や川の音とか、雷や焚火の音を組み合わせたりなんかもできます。
すぐ眠れそうなときは、5分。
興奮しちゃってるかもというときは20分とかタイマーにしてイヤフォンで聞いています。
不思議と思考しないで音に集中できて、基本すぐ眠ってるみたいです。
でも、自分が好きな音(自然音)を聞くのがよいと思います。
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